伝統の100年フード部門〜江戸時代から続く郷土の料理〜
ベンケイ
「ベンケイ」は福島県南相馬市原町区の沿岸部に位置する萱浜地区に伝わる郷土料理です。江戸時代後期、天明の飢饉で荒廃した中村藩の農村復興政策のひとつとして実施された移民政策により、おもに北陸地方から入植した浄土真宗移民が持ち込んだと伝わります。大根や芋がら、赤唐辛子を酢、醤油、砂糖で炒め煮した料理で、かつては正月用の保存食や浄土真宗のお講など、ハレの日の食べ物とされました。現代では、晩秋から冬の“季節の味”として受け継がれています。その名称は、移民の出身地のひとつである富山県砺波地方の方言の「ベンケ=大根おろし」「ベンケオロシ=唐辛子を入れた大根おろし」が由来であると考えられます。萱浜地区は、東日本大震災による甚大な津波被害のため地区のほとんどが災害危険区域となり、居住が制限されました。今後どのように「ベンケイ」を継承していくか検討を進めています。
