伝統の100年フード部門〜江戸時代から続く郷土の料理〜
伊勢いもとろろ
ある伊勢いも農家曰く「幼い頃、大晦日には毎年母が伊勢いもをすりおろして出し汁の冷めたのをすり鉢にいれて、とろろ汁を作り、それを麦飯とともに食べ、年の瀬を送ったものだ」。この地域の先人たちは、専ら米を中心とする雑穀と豆を中心とする発酵食とを組み合わせてきたが、中でも伊勢いもは、300年の歴史を有し、とろろ汁やおとし芋として食されてきた。新芋が大きくなる時、種芋の下で大きくなる性質があり、生まれながらにして親芋をいだいてくるということで孝行芋とも呼ばれ、結婚等祝いの献立には伊勢いもとろろで祝ったものだそうだ。昭和のはじめに書かれた本には「疫を癒し、腰痛を止め、五臓を充たし、煩熱を除き、陰を強くす」とあり、薬用としても食されていたことが読み取れる。 伊勢いもを次世代に引き継ぐべく、作り手を育成する「伊勢いもプロジェクト」に取り組み、これまでに10名を超えるの農家が誕生した。「伊勢いも」の挑戦は続く。
