近代の100年フード部門〜明治・大正に生み出された食文化〜
相知(おうち)高菜漬
全国唯一の在来品種の相知高菜は、古来より名峰作礼山の山麓の相知町楠地区で栽培されてきました。明治になり、唐津炭田である相知町には炭鉱労働者などで人口が増加していき、相知高菜漬は手間のかからないごはんのおかずとして需要が伸びました。大正9年には、相知町で最初の高菜漬け製造販売の広瀬仙吉商店が開業し、相知高菜漬は県内外へと広まりました。しかし、相知高菜と比べ収穫量に勝る三池高菜などの新品種が現れ、昭和40年代には相知高菜から三池高菜へと移行しました。相知高菜漬はまぼろしの高菜漬となっていましたが、伝統ある相知高菜漬の復活が期待される中で、相知高菜の種子が奇跡的に相知町楠で見つかり、その種子で試験栽培を行い、関係者の努力により平成21年に相知高菜漬が見事に復活しました。相知高菜漬は他の高菜漬と比べ柔らかな食感と甘酸っぱさが際立っていますので、ごはんのおかずや油炒めなどおいしくいただけます。