伝統の100年フード部門 〜江戸時代から続く郷土の料理〜
令和6年度認定
としるの貝がら焼き
三陸地域の乾鮑は、江戸時代において乾燥ナマコやフカヒレと共に中国へ輸出され、その品質の高さから「俵物三品」と幕府のお墨付きが付くほどのものでした。現代においても、乾鮑は中華料理の高級食材として広く愛され、活アワビと共に高品質なアワビとして知名度の高いものとなっています。乾鮑の製造では肝の部分は使われません。また、肝はすぐに鮮度が落ちるため、漁業者の間では浜のまかない料理として肝を食べる文化が発展しました。アワビの肝は「としる」と呼ばれ、特に滋養強壮に良いと親しまれており、その代表的な食べ方が「としるの貝がら焼き」です。アワビの貝がらを小さな鍋として使用し、貝がらの穴に味噌を詰め、大根の千切りと共に肝を煮込んだ料理です。肝の滋味深い味わいが印象的なこの料理は、味噌、醤油の味付けや、貝柱のスライスを添えるなど家庭ごとに工夫が加えられながら漁業者の間で伝わってきた料理です。

岩手県
大船渡商工会議所
https://ofunatocci.or.jp/