伝統の100年フード部門 〜江戸時代から続く郷土の料理〜
令和6年度認定
有識者特別賞
伊勢うどん
伊勢うどんは、伊勢地域の独特なうどんで、太くてやわらかい麺に、少量のたまり醬油をベースにしたタレがかかった食べ物です。具材は刻みネギ程度で、あまり載せません。伝承によると、農民たちが麦を挽いてうどんを打ち、地味噌から取れた「たまり」をかけて食べたものをルーツとしています。伊勢市は古くから信仰されてきた伊勢神宮が所在し、全国から参宮者が集まった地です。このうどんは、うどん屋や茶屋で提供されるようになり、参宮者をもてなすために改良されてゆき、江戸時代中期には今日のようになっていたようです。この土地ならではの特徴的なうどんは、その美味しさと珍しさで、伊勢参りの記念に食べられ、帰った時に「食べてきた」と語り草にもなりました。伊勢市内で継承されてきた郷土食であり、現在でも市民にとっては日常的に食されるとともに、伊勢参りにおける代表的な食べ物のひとつとして、多くの観光客にも親しまれています。

三重県